海運株はこれから上昇?下落?要因解説と銘柄分析【日本郵船/商船三井/川崎汽船】

海運業が2021年3月に入って上昇しており、注目が集まっています。
(3/23終値ではいずれも下落していますが)
今回は上昇の理由と海運業で代表的な3社(日本郵船/商船三井/川崎汽船)の株を分析してみました。

海運株が急騰

2021年に入ってから海運3社の株が急騰しています。特に3月以降の上昇が目立ちます。

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出典:株探

上昇には以下2つの要因が挙げられます。

①定期船:コンテナ運賃の急上昇
2020年1月と比較するとコンテナ運賃は米国向けで2倍、欧州向けは4倍以上に上昇していることで海運3社の利益が押し上げられています。

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出典:日本経済新聞

このコンテナ運賃上昇は中国でのコンテナ不足を発端としています。
下図のように世界のコンテナ荷動きは東アジア、こと中国を拠点としていることが多いのですが、輸入側での荷下ろし作業がなかなか進まないことでコンテナ不足が発生しているようです。

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出典:日本海事センター

②不定期船:ドライバルク船/自動車専用船などの需要増
ドライバルク船(ばら積み船)とは、鉄鉱石、石炭、穀物、塩、アルミ塊、銅鉱石などさまざまな資源を、梱包せずに大量にそのまま輸送する船です。

上記運賃の値動きを示すバルチック海運指数が2019年9月以来の高値水準となっています。

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出典:Trading View

このことから経済正常化で貨物需要が伸びており、海運各社の業績回復が来期には顕著になると見られています。

日本郵船

ここからは海運3社の分析をしていきます。

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出典:株探

日本郵船は海運売上高で国内トップを誇り、陸海空の物流サービスを連携させています。
海運3社の中では最も株価の伸びが著しい銘柄となっています。

中期経営計画の重点戦略はLNG(液化天然ガス)・海洋事業への重点投資、従来の海運業の枠組にこだわらない海運業+αとなっています。
国際間の水素サプライチェーン構築、国内の洋上風力、LNG燃料や水素・アンモニア分野をテーマに新たなビジネスモデルの構築を推進ということで直近話題のテーマがずらりと並びます。

PERは7.3倍と割安、利回りも3.33%と高配当銘柄と言えます。

また直近の決算も好調で経常利益を2.3倍上方修正しており、業績の好調ぶりも見えます。
営業利益についても3Qで急激に回復していますね。

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出典:マネックス証券

商船三井

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出典:株探

商船三井は国内2位の大手海運会社です。

世界最大級の輸送船隊(ドライバルク船/ばら積み船)を持つほか、グローバルな外航海運会社として海上貨物運送と関連の海洋ビジネス(客船・曳船)・物流サービスを展開しています。

PERは8.1倍と割安、利回りも2.47%となっています。

また直近の決算も好調で経常利益を72%増益上方修正しており、業績の好調ぶりも見えます。
営業利益についても1Qで底を打ってからは徐々に回復していますね。

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出典:マネックス証券

また商船三井は海洋事業と呼ばれる洋上での石油/LNGなどの資源開発をサポートする事業を手がけており、こちらについても今後利益の押し上げに貢献すると考えられます。

川崎汽船

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出典:株探

川崎汽船は国内3位の大手海運会社です。

ドライバルク、エネルギー資源(資源輸送、海洋資源開発)、製品物流(自動車船、物流、近海・内航)の事業を営む一方で一般消費財・部品・原料素材など多種多様な品目輸送のコンテナ船(日本・アジア・欧州・北米の4拠点を中心にグローバルサービスを展開)はオーシャンネットワークエクスプレス(商船三井・日本郵船との合弁会社)へ移行してしまっています。

PERは3.7倍と3社の中で最も割安、配当は出していません。

直近の決算は好調で通期最終利益を3.3倍上方修正しており、業績の好調ぶりが見えます。

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出典:マネックス証券

最も割安感のある川崎汽船ですが、自己資本比率が3社のうち最も低いこととコンテナ船の収益性が低いことが懸念材料となっています。

また3社のコンテナ船事業は先述したオーシャンネットワークエクスプレスに統合されているのですが、川崎汽船は統合前に調達した高コスト船を処分しきれなかったことも他社と比較すると株価が出遅れている要因と言えそうです。

所感

3社とも直近の株価急上昇が3/23に一服した形となりましたが、PERや過去の株価と比較するとまだまだ割安水準と言えます。

特に商船三井については海洋事業に今後の期待が高まっており、これからの決算がどの程度株価に折り込まれているのかは非常に興味深い銘柄となっています。

しかしながら2021年に入ってからのセクターローテーションは目まぐるしく、毎週のように物色される業種・銘柄が移り変わっている状況です。

例年3月下旬は全体的に株価が下落する時期と言われています。
※詳しい理由は下記記事を参照ください
【リバランス売り/株式持ち合い(政策保有株式)解消】3月末に株価が下落しやすい要因を解説!

日々のニュース(特に海運は経済動向に敏感に反応します)を注視し、底打ちを確認してから買いを入れたいものです。

※ここまで個別株式の分析を行いましたが、本記事は銘柄を推奨する目的ではありません。
投資はくれぐれも自己責任でお願い致します。

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